大宮ゆかりの歌人・大西民子は学生時代から花を愛し、その生涯においても花を題材にした短歌を多く詠んでいます。
文学少女だった民子は、学生時代には花言葉に希望に満ちた自分の未来を託し思い馳せていたといいます。また、結婚後夫との別居生活で悩んでいた頃には、常に花を絶やさず飾るようにしていたと書いており、花々の明るさは民子の心の支えにもなっていました。
今回の展示では、民子が自ら解説を書いた『大西民子集-現代短歌入門(自解100歌選)』より、花にまつわる歌をご紹介します。
大宮ゆかりの歌人・大西民子の父・菅野佐介(1888~1945)は、岩手で刑事として活躍し周囲の人々から「シャーロック・ホームズ」と言われていました。
職場では鬼刑事と言われるほど厳しかった佐介も、家では子煩悩な父親で特に次女の民子のことを可愛がり、民子もそんな父を尊敬していました。民子が教員として就職してまもなく佐介は急逝しますが、民子は歌に父の姿を描き続けました。
今回の展示は、敏腕刑事としての佐介の活躍について詠んだ歌「みちのくのシャーロックホームズ」、受験生の民子を見守る父の姿を描いた「民子の進学」、そして民子の父への挽歌「父への想い」の3部構成で、自筆資料や、父との日々にまつわる所持品などを展示します。作品を通して、民子の家族への深い愛情を感じていただければと思います。